色や形のテーブルワークではなく、
仲間とともに体験したいものですね、
デザインの心。
外(おもて)へ出よう!デザイナー
この夏、春にデザインした半天・のぼり・幕・旗が染め上がり、縫製され完成した。企画から製作まで、ずいぶんと長かったような気がする。私の仕事は通
常、オフセット印刷等、各種印刷による大量生産の媒体がほとんどなのだが、クライアントである企業と年間のスケジュールを組み、各種催し物・販売促進のためのツール・権威づけのための備品等、形あるもの、目に見えるもの、あらゆる種類のデザインの相談がくる。しかし、その中で伝えたいモノやコトをヴィジュアルデザインの面
から計画するためには、あらゆる媒体の開発や、それを補う加工技術の認識が必要になってくる。でも私の場合、自分自身の感覚にピッタリくる仕上りのためだけに、限られた机の上で、マーカーの色と紙の色だけを信じて、イメージし、デザインすることがほとんどである。これでは、カタログ屋さん、マニュアル屋さんと呼ばれても仕方ない。
ヴィジュアルデザインとは、目的を満足しうるアイデアを練り上げ、最大の有効手段を尽して具体化させる視角伝達計画である。それは、表面的な色と形だけでなく、材質や耐久性、そしてそれらをひっくるめた効果の問題を追求しなければならないことである。目的に合致させるためには、今まで自分が手を触れたことのないものをデザインすることにもなる。今はまだ、効率の悪いデザイン業かもしれないが、そうかといって、デザイン業界ですでに定着した手段だけを使うことを私は好まない。この夏、完成する半天も、染工場のおやじさんと打ち合わせを繰り返し、染工場を見学し、染工程を教わったり、デザインのプレゼンテーションを感心されたりと、充実した製作であった。
街に出ればいろんな商店や問屋さんとともに、加工屋さん、技術屋さんの看板がある。ものづくりには、ものづくりの仲間が要る。デザイナーも外へ出て○○屋さんの門戸をたたこう。各種技術屋さんにも、できる限り知恵の開放を望みたい。技術が他の人間によって新しい情報の媒体に転化するかもしれないのだ。国内だけでなく、世界的にも優れた日本の技術を、もっともっと活かしたいと思う。私もひとりのデザイナーとして、そうした技術を日本中歩きながら探し求め続けたい。(小林茂美・ヴィジュアルデザイナー)
Design Age 55 昭和54年12月20日発行
企画編集●日本産業デザイン振興会
表紙デザイン●青葉益輝
発行●日本産業デザイン振興会 掲載文より
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プロフィール:新潟県立高田工業高校工芸科卒 桑沢デザイン研究所(基礎造形・グラフィック・パッケージ・写
真専攻)卒
1973年:綜合デザイン研究所(情報デザイン・建築設計・映像) パンデコン 入所 スーパーグラフィック=ランドグラフィック CI (Visual Communication
Program)企業・商品・ブランド・組織・団体のマーク・シンボル・ロゴマークデザイン多数 各業種【会社案内誌 ・プラントカタログ・販促マニュアル等制作】 遊具・サインデザイン・商品デザイン(外柵門扉・フェンス・タオル等)
海外デザイン研修欧州6カ国 Design Age 55 誌に投稿 1979年:日本デザインセンター 入社 海外宣伝部にて各国語(英語・仏語・アラビア語・中国語)カタログ制作
ギブアウェイカタログ/ポスター/カレンダー制作 日本酒ラベル 他 1986年:情報デザイン研究所【C.D.L.Communication Design
Laboratory設立 デザインステーション】 各種商品開発デザイン/CI/販売促進計画 グループ展【スペースアート展】1990年:商品化デザインを中心としたタイム商品研究所設立現在に至る。1991年 Macintosh・Adobe Illustrator Photoshopを使いはじめる。異業種交流プロデュース。広報PR。ビジュアルマーチャンダイジング。2007年、デザインの原点から、はじめる。2008年Gallery 風の道|雨の匂|石の刻 展覧会案内掲載。2009年個展作品制作開始。デザイナーの意見。